燃油サーチャージとは?航空券購入前に知っておくべき基礎知識

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航空券の価格をチェックしていると、チケット代とは別に「燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)」という項目を見かけたことはありませんか?

この燃油サーチャージは、航空運賃に大きく影響する要素の一つであり、特に国際線の航空券を購入する際には見逃せないポイントです。

本記事では、燃油サーチャージの仕組みや価格決定のタイミング、航空会社による違い、さらには旅行業界で働く方にとって知っておきたい裏側の話まで、現場経験のある筆者が詳しく解説します。

航空券の予約を考えている方はもちろん、旅行業界への就職・転職を目指す方にとって、実務に直結する知識としてぜひ押さえておきましょう。

燃油サーチャージの基礎知識

航空券に上乗せされる「燃油サーチャージ」は、航空運賃の変動要因として非常に重要な要素です。

ここでは、その基本的な仕組みや適用ルール、価格決定の背景となる指標などをわかりやすく整理して解説します。

燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)とは?

燃油特別付加運賃とは、原油価格の変動に対応するため、航空会社が航空運賃とは別に設定する追加料金のことを指します。

一般的には「燃油サーチャージ」と呼ばれており、国際線を中心に2000年代以降広く導入されるようになりました。

航空会社にとっては経営上のリスクヘッジとして機能しており、旅行業界の実務では、運賃構成の説明や見積もりの精度に直結する重要な項目です。

燃油特別付加運賃とは?

燃油特別付加運賃とは、航空券の基本料金とは別に請求される追加料金のことです。
この料金は「燃油サーチャージ」とも呼ばれ、航空機を運航する際に必要な燃料の価格が上昇した場合、そのコストの一部を乗客にも負担してもらう目的で設定されています。

燃油サーチャージはいつ決まる?2ヶ月ごとの見直しルール

日本発の国際線における燃油サーチャージは、航空会社ごとに設定され、通常「2ヶ月ごと」に見直しが行われます。

基準となるのは、過去2ヶ月間の平均燃料価格(シンガポールケロシン価格)で、発券日を起点に適用される料金が決まります。例えば、12月と1月の平均価格に基づくサーチャージは、4月・5月発券分に適用される、といった具合です。

以下は、日本航空(JAL)の燃油サーチャージ決定におけるサイクルの一覧です。航空券の価格動向を先読みするために、ぜひ覚えておきましょう。

発券月適用額発表時期平均値算出対象期間
4月〜5月2月中旬~下旬頃12月~1月の2カ月平均値
6月〜7月4月中旬~下旬頃2月~3月の2カ月平均値
8月〜9月6月中旬~下旬頃4月~5月の2カ月平均値
10月〜11月8月中旬~下旬頃6月~7月の2カ月平均値
12月〜1月10月中旬~下旬頃8月~9月の2カ月平均値
2月〜3月12月中旬~下旬頃10月~11月の2カ月平均値
引用:国際線「燃油特別付加運賃」 – JAL

「シンガポールケロシン価格」って何?サーチャージとの関係性

燃油サーチャージの算定基準として最も一般的に用いられるのが「シンガポールケロシン価格」です。

これは、シンガポール市場で取引される航空機用燃料(ジェット燃料)の価格で、国際的な指標として広く採用されています。

日本の航空会社もこの価格をもとに、一定期間の平均値を算出し、サーチャージ額を設定しています。

ケロシンとは?

「ケロシン(Kerosene)」とは、原油を精製して得られる石油製品の一種です。航空業界では、特に「ジェット燃料(航空機用燃料)」として利用されるものを指します。

日本の燃油サーチャージは国際線のみが対象

日本における燃油サーチャージの適用対象は、原則として「国際線」に限定されており、国内線には課されていません。

これは、国際線が長距離移動を伴い、燃料消費量やコスト変動の影響が大きいためです。国内線では、運賃に燃料費を含めて価格設定されるケースが一般的です。

国内線の航空券を購入する際に「燃油サーチャージの項目がない!」と思われても、一般的な事象であるためご安心ください。

燃油サーチャージを理解して、航空券をお得に購入する

燃油サーチャージの仕組みを正しく理解すれば、航空券をより安く手に入れるための「戦略」が立てられます。

ここでは燃油サーチャージが安くなるタイミングの見極め方や、サーチャージがあらかじめ運賃に含まれている航空会社の特徴など、役立つ情報をわかりやすくご紹介します。

燃油サーチャージが安くなるタイミングを狙って航空券を購入しよう

燃油サーチャージは、前述の通り、原油市況の変動に応じて約2ヶ月ごとに見直され、価格が上下します。

例えば、原油価格が下落傾向にある場合、その平均価格に基づいて数ヶ月後のサーチャージが引き下げられます。このため、「安くなるタイミングを予測して購入時期を調整する」という戦略が有効です。

しかし、航空券の価格は空席状況にも左右されるため、燃油サーチャージが下がったとしても、航空券自体の運賃が上昇する可能性もあります。

したがって、燃油価格の動向だけでなく、空席状況や旅行のピーク時期などを踏まえたバランスを意識し、購入時期を見極めることが重要です。

燃油サーチャージ込みの航空券?含まれている航空会社もある

すべての航空券に燃油サーチャージが別途加算されるわけではありません。

一部の航空会社、特にLCC(格安航空会社)や外資系キャリアでは、「燃油サーチャージ込み」の総額表示を採用している場合があります。

この方式では、表示されている価格がそのまま支払額となるため、顧客にとって非常に分かりやすく、比較しやすいというメリットがあります。

さらに、このような運賃設定を採用している航空会社では、燃油価格の変動に関係なく、価格が一定であるため、購入時期を気にせずに航空券を購入できるという利点もあります。

以下は、燃油サーチャージが不要な航空会社の一覧です。航空会社を選ぶ際の参考にしてください。

燃油サーチャージが不要な航空会社

  • カタール航空
  • シンガポール航空
  • ニュージーランド航空
  • カンタス航空(日本発は完全廃止)
  • ZIPAIR(ジップエアー)
  • ジェットスターグループ
  • Peach

【裏話】旅行会社は発券タイミングを調整して利益を出している

旅行会社の収益の一部は、予約時の燃油サーチャージと発券タイミングの「ズレ」によって得られることがあります。

例えば、予約時に提示したサーチャージ額よりも、実際の発券日(適用日)が新しい価格に切り替わる直前の場合、旧価格で販売を行い、安くなった新価格で発券することが可能です。

こうした手法は、旅行会社の発券担当者が重要な役割を担っており、発券期日や燃油サーチャージの上限、さらには価格変更のタイミングを慎重に見極めることが求められます。

利益を最大化するためには、これらの要素を適切に調整することが、業務の大きなミッションの一つです。

以下は、4/10に予約を行い5/20(燃油価格改定前)と6/1(燃油価格改定後)に発券を行った場合の違いをわかりやすく解説した一例です。この例では、燃油価格の下落より2,500円の利益が創出されています。

代金内訳4/10に予約5/20に発券6/1に発券
航空券代金40,000円40,000円40,000円
諸税3,000円3,000円3,000円
燃油21,000円21,000円18,500円
差分利益0円0円+2,500円

燃油サーチャージに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、旅行業界の現場で実際によく寄せられる「燃油サーチャージ」に関する疑問について、Q&A形式でわかりやすく解説していきます。

よくある質問を通して、燃油サーチャージの仕組みや実務での扱い方への理解を、より一層深めていきましょう。

燃油サーチャージはいつ支払うの?

燃油サーチャージは、航空券の予約・購入時に、航空運賃とあわせて支払うのが一般的です。

適用される金額は「搭乗日」ではなく、「予約日」に有効な燃油サーチャージ額が基準となります。

※正式には「発券日」に適用される料金が基準ですが、実務上は予約日を基準とするケースがほとんどです。これは、価格変更後に顧客へ追加請求することの難しさや、再精算の手間を回避するのが主な理由です。

そのため、燃料価格の上昇が見込まれる局面では、早めに予約・発券を行うことで、結果的にコストを抑えられる可能性があります。

子供料金にも燃油サーチャージはかかる?

子供(小児)航空券にも基本的に燃油サーチャージは課金されます

ただし、幼児(座席を使用しない2歳未満)については、航空会社によっては無料、または割引される場合もあります。予約を行う際には十分に確認をしてください。

マイルで購入した、特典航空券でも燃油サーチャージは必要?

マイルを使った特典航空券の場合でも、燃油サーチャージや空港使用料などの諸費用は別途支払いが必要になるのが一般的です。

各航空会社の規定をよく確認してから、申し込みを行ってください。

燃油サーチャージが今後なくなる可能性はある?

現時点では、燃油サーチャージは原油価格の変動によるリスクを航空会社が回避するための有効な手段とされており、制度そのものが近い将来に廃止される可能性は低いと考えられています。

一方で、料金体系のシンプル化や顧客への分かりやすさを重視し、燃油サーチャージを航空券代金にあらかじめ組み込んだ「総額表示方式」を採用する航空会社も徐々に増えてきています。

今後は、燃油サーチャージの扱い方にも多様化が進むことが予想され、業界としての動向を注視していきましょう。

まとめ

燃油サーチャージは航空券購入時に避けて通れない費用の一つであり、その仕組みや変動ルールを理解しておくことで、出費を抑えながら賢く旅を楽しむことが可能です。

また、旅行業界に携わる人材にとっては、燃油サーチャージの基本構造や航空会社の価格戦略を理解することが、お客様への的確な提案や信頼獲得にもつながります。

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