旅行会社の本当の価値とは?元社員が実体験から語る役割と魅力を再考察

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インターネットやスマートフォンの普及により、航空券やホテルの予約は誰でも簡単に行える時代になりました。

旅行業界を取り巻く環境が大きく変化する中、「旅行会社はもう必要ないのでは?」といった声も耳にします。

しかし、現場で長年旅行の提案・手配に携わってきた立場から見ると、旅行会社には価格以上の価値、そして人にしかできない役割が確かに存在します。

本記事では、旅行会社での実務経験をもとに、「旅行会社の本当の価値」とは何かを再考察

サービスの魅力、現代の課題、そして大手各社が掲げる理念までを掘り下げ、旅行会社の現在地とこれからを明らかにしていきます。

旅行会社の本当の価値とは?

かつて旅行会社は、航空券やホテルを手配するための「窓口」として広く利用されてきました。

しかし近年、インターネットの普及により、個人でも簡単に旅の手配ができるようになり、その役割は大きく変化しています。

ここでは、旅行会社だからこそ実現できる提案力・手配力・サポート体制など、実務を通して実感した「本質的な価値」について解説していきます。

新しい旅先を発見できる「旅の提案力」

旅行会社の持つ最大の強みの一つが「提案力」です。

個人では探しきれない旅先や旬の観光地、地域独自の魅力をプロの目線で紹介できるのは、現地の観光局や施設とのネットワークを持つ旅行会社ならでは。

特に、「何となく旅行に行きたいけど、どこがいいかわからない」というお客様に対しては、ニーズや予算、過去の旅行履歴に応じて最適な行き先を導き出すことができます。

新しい旅先との出会いを創出することで、単なる予約代行ではない価値を提供しています。

個人では行きにくい場所へのアクセスを可能にする「手配力」

インターネットの普及により、航空券やホテルの手配は個人でも簡単に行えるようになりましたが、すべての旅先にそれが当てはまるわけではありません。

特に離島や山間部、アクセスが限られる海外の地域、季節限定で開放される観光地などは、いまだにオンラインだけでの手配が難しいケースが多くあります。

現地の交通手段や宿泊施設が日本語に対応していなかったり、複数の手配先との調整が必要だったりするため、個人では煩雑になりがちです。

旅行会社は、こうした「行きにくい場所」に対しても独自のネットワークと経験を活かし、確実かつスムーズに旅を実現するための手配力を発揮します。

それが、プロに依頼する大きな意義のひとつです。

旅行中のトラブルにも対応できる「安心のサポート体制」

旅行中に起きる飛行機の遅延、天候による欠航、パスポートの紛失、体調不良などは、誰にとってもストレスです。

そんな時、旅行会社を通じた手配であれば、現地からの問い合わせや代替手配、保険対応までをスムーズにサポートしてもらえる安心感があります。

特に添乗員付きのツアーやサポート付きの個人旅行では、現地スタッフとの連携体制が整っており、迅速な対応が可能です。

「何かあっても対応してくれる」という信頼が、お客様の精神的負担を大きく軽減します。

忙しい人にこそ嬉しい「旅の準備から解放される心の余裕」

旅行の計画には、目的地の選定、日程の調整、交通・宿泊の手配、観光ルートの検討など、思った以上に時間と労力がかかります。

特に仕事や家庭で多忙な方にとっては、この準備段階が大きなハードルになります。

旅行会社を利用すれば、こうした工程をまるごと任せることができ、出発までの時間を安心して過ごすことが可能です。

「旅のプロ」に任せることで、計画段階からストレスを軽減し、旅そのものをより楽しめるようになります。

顧客一人ひとりに寄り添う「信頼できる旅のパートナー」

旅行会社の本質的な価値は、「人」と「信頼関係」にこそあります。

インターネット予約が主流となった現在でも、対面や会話を通じて相談できる安心感は、旅行会社ならではの強みです。

旅行の目的やこれまでの経験、家族構成、趣味嗜好などを丁寧にヒアリングしながら、お客様一人ひとりに最適な旅を共に組み立てていく姿勢が、厚い信頼につながっています。

特に、記念旅行やハネムーン、退職旅行といった「人生の節目」に関わる場面では、こうした寄り添い型のサービスが高く評価され、結果としてリピーターを生む大きな要因です。

価格訴求だけでは旅行会社が立ち行かなくなった理由

かつては「他社より安いツアーを提供できるか」が旅行会社選びの重要な要素の一つでした。

しかし現在では、価格だけに依存した戦略では通用しなくなりつつあります。

ここでは、旅行会社が価格競争だけでは生き残れなくなった背景を4つの視点から整理します。

航空会社・ホテルへの直接予約が可能になったことで価格競争が激化

オンラインで誰でも簡単に航空券やホテルを予約できるようになったことで、旅行会社は従来の「手配業務の窓口」としての役割を失いつつあります。

特にLCC(格安航空会社)や海外ホテル予約サイトの台頭により、ユーザーは中間マージンのかからない「直販」を選ぶ傾向が強まっています。

その結果、旅行会社は価格競争の土俵に立たざるを得なくなり、収益性の確保が難しくなってきました。

値引き合戦に巻き込まれれば、利益は圧縮され、サービス品質を維持することも困難になります。

SNSや口コミサイトの普及で、旅行情報が誰でも簡単に手に入る時代に

かつて旅行会社は「旅の情報源」としての役割を担っていましたが、SNSや口コミサイトの発展により、今や誰もが簡単にリアルな旅行情報を取得できるようになりました。

InstagramやYouTubeでは現地の最新の様子が可視化され、TripAdvisorやGoogleのレビューでは第三者の評価が豊富に得られます。

こうした背景から、旅行先の選定においても、旅行会社よりも「生の声」を重視する消費者が増加。情報提供の価値だけでは顧客を引きつけられなくなってきています。

物価上昇と人件費の高騰で「格安ツアー」の継続が困難に

近年の物価高騰と人件費の上昇は、旅行業界にも大きな影響を及ぼしています。

宿泊施設や交通機関の仕入価格が上がる中で、従来のような「格安パッケージツアー」を維持することが難しくなっています。

また、円安や燃油サーチャージの高騰もコストを押し上げ、価格を抑えた商品設計そのものが成立しにくい状況です。

無理に安価な商品を組もうとすれば、現地での満足度や安全性が損なわれ、クレームやトラブルのリスクも増大します。

手数料収入に頼るビジネスモデルの限界が顕在化

従来の旅行会社のビジネスモデルは、航空券・宿泊・パッケージ商品の販売による手数料収入が中心でした。

しかし、オンライン化の進展により仕入先との直接取引が増え、マージン率は年々低下傾向にあります。

また、OTA(オンライン旅行会社)の手数料圧力や、旅行先のダイナミックプライシングの影響も受け、一定の収益を安定的に確保するのが難しくなっています。

単なる仲介業としての存在価値が薄れる中で、旅行会社は新たな収益源や価値の再定義を迫られています。

大手旅行会社が掲げる企業理念とビジョンとは

JTBグループ

JTBグループの経営理念は「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」というもの。

創業100年以上の歴史を持つJTBは、日本最大手の旅行会社として、単なる旅行手配にとどまらず、「交流文化事業」や「地域創生」「MICE(企業イベント)」など、幅広い分野で人と人・地域と地域をつなぐ役割を担っています。

個人旅行だけでなく法人営業・自治体連携も強く、社会インフラ的な存在感を放つ企業です。

JTB グループ経営理念

地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。

引用:The JTB Way|Our story|JTBグループサイト

エイチ・アイ・エス(HIS)

HISは「『心躍る』を解き放つ」をグループパーパスに掲げ、従来の旅行会社にはない独自性で業界を切り拓いてきた企業です。

若年層やバックパッカー向けの低価格な海外旅行からスタートし、現在ではテーマ性のあるパッケージツアー、地方創生型プロジェクト、さらにはホテル・電力・ロボット事業まで多角的に展開。変化を恐れず挑戦し続ける姿勢が特徴で、旅にとどまらない「心が動く体験」の提供を目指しています。

HIS Group Purpose

「心躍る」を解き放つ

引用:フィロソフィ | HISグループ

日本旅行

日本旅行は「魅力ある旅の創造とあたたかいサービスに努め、豊かな生活と文化の向上に貢献する」ことを企業理念に掲げています。

老舗ながらも柔軟な対応力があり、教育旅行や修学旅行に強みを持つ一方で、近年では地方創生や観光DXにも積極的に取り組んでいます。

お客様に「愛される」企業であることを重視しており、地域や学校などとの長期的な信頼関係を大切にする姿勢が見て取れます。

日本旅行 経営理念

日本旅行は、あふれる感性とみなぎる情熱を持って、魅力ある旅の創造とあたたかいサービスに努め、お客様に愛され、未来を拓くアクティブカンパニーを目指し、豊かな生活と文化の向上に貢献します。

引用:経営理念 – 日本旅行コーポレートサイト

近畿日本ツーリスト

近畿日本ツーリスト(KNT)のPurposeは「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」

旅そのものの進化に加え、旅を超えた新しい価値の創造を目指しているのが特徴です。

グループ会社のKNT-CTホールディングスとしては、BtoB事業(法人・教育旅行・官公庁案件)に強く、全国に営業網を持つ点が強み。

単なる旅行の手配にとどまらず、ビジネスや行政のパートナーとして課題解決を図るスタンスが際立ちます。

近畿日本ツーリスト Purpose

まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ
私たちは、旅の進化に加え、旅に限らない新しい価値を創造し、まだ見ぬ社会づくりに貢献してまいります。

引用:経営理念 | 会社情報 | 近畿日本ツーリスト株式会社

令和トラベル(NEWT)|テクノロジーで旅をもっと自由に、楽しく

令和トラベルは、「あたらしい旅行を、デザインする」をミッションに掲げ、テクノロジーを活用した新時代の旅行サービスを展開しています。

スマートフォン完結型の海外旅行アプリ「NEWT(ニュート)」では、シンプルで直感的なUIでパッケージツアーやホテルをワンストップ手配可能。

従来の旅行会社が築いた「対面重視」のスタイルから一線を画し、オンライン世代やミレニアル層に向けて自由度の高い旅を提供する、新興勢力です。

令和トラベル Mission

あたらしい旅行を、デザインする。

引用:私たちについて | 株式会社令和トラベル

まとめ

旅行の自由化・情報化が進んだ今、旅行会社が担うべき役割は単なる手配業務ではなくなりました。

顧客一人ひとりに向き合い、情報の取捨選択を支援し、安心と体験価値を提供する「人を介した旅づくり」こそが、旅行会社の本質的な価値です。

価格訴求だけでは立ち行かなくなった現代だからこそ、旅行会社は今あらためて「信頼される存在」としての価値が問われています。

こうした本質的な価値を提供できる旅行会社こそが、今後の市場において生き残っていくといえるでしょう。

「旅のプロが導く!業界キャリアナビ」では、元旅行会社の社員が「旅行業界への就職・転職に役立つ情報」「旅に関する便利な情報」を発信しています。

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Tak(サイト管理人)

サイト管理人

日本の大手旅行会社に約9年間勤務。 販売・商品企画・仕入れ業務に加え、海外駐在など多岐にわたる実務経験を積んできました。 過去の経験を活かし、旅行業界の仕組みや、旅に役立つ実践的な情報をわかりやすく発信しています。

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