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英コンサルティング会社「ヘンリー・アンド・パートナーズ(Henley & Partners)」は、2025年版の「世界最強のパスポートランキング」を発表しました。
日本は、ビザなし渡航可能国数190カ国という結果で、世界第2位にランクイン。トップを争う各国と比較しても非常に高い水準です。
しかし、注目すべきはこの「最強クラス」のパスポートが、実際には十分に活用されていないという点にあります。
本記事では、ランキングの詳細と日本の順位、その背景にある国際情勢や日本国内の意識変化、さらに海外旅行離れの実態まで、ビジネスパーソン視点で読み解いていきます。
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2025年版パスポートランキング発表!世界で最も旅行しやすい国は?

2025年も、国際的な移動の自由度を示す「パスポートランキング」が英ヘンリー・アンド・パートナーズより発表されました。
グローバルビジネスや観光動向を把握するうえでも注目されるこのデータは、各国の外交力や国際信頼性を映し出す重要な指標として知られています。
このランキングがどのように決まり、なぜ注目されるのか。まずはその仕組みと評価基準から見ていきましょう。
パスポートランキングとは?評価基準をわかりやすく解説
パスポートランキングは、各国・地域のパスポートを保有することで「ビザなし、または到着時にビザ取得」で渡航可能な国・地域の数をもとに順位付けされます。
評価対象は、事前にビザを取得せずに入国できる国の数であり、外交関係や治安、信頼性などが間接的に反映される仕組みです。
ヘンリー・アンド・パートナーズはこのランキングを毎年更新しており、各国の国際的な立場や影響力を可視化する材料として世界中で注目されています。
日本は世界第2位にランクイン!その理由とは
2025年版では、日本は190カ国へのビザなし渡航が可能という結果で、韓国と並んで世界第2位にランクインしました。
ビジネス、観光を問わず、これほど多くの国・地域に渡航できるパスポートは限られており、日本の国際的な信頼性の高さが改めて浮き彫りになったかたちです。
安全保障、外交姿勢、経済的な安定性など、複合的な要因が評価された結果といえます。
では、具体的にどの国が1位・2位・3位にランクインしたのか、ランキング上位国を詳しく見ていきましょう。
第1位:193カ国
- シンガポール
2025年のランキングでトップに立ったのは、193カ国へのビザなし渡航を可能とするシンガポールです。
小国ながらも国際的なビジネスハブとしての地位を確立し、多国間との信頼関係を強固に築いてきた結果といえます。
政治的安定性、治安の良さ、高い行政効率も評価の理由の一つです。
第2位:190カ国
- 日本
- 韓国
第2位には日本と韓国が並び、190カ国へのビザなし渡航が可能です。
特に日本は、ビザなしで渡航可能な国・地域の多さにおいて、常に上位にランクインしており、そのパスポートは国際的にも非常に高い評価を受けています。
政治的安定性や治安の良さ、信頼性の高い出入国管理体制などが、パスポートの価値を支える要因とされています。
第3位:189カ国
-
デンマーク
-
フィンランド
-
フランス
-
ドイツ
-
アイルランド
-
イタリア
-
スペイン
第3位には欧州の主要7カ国がランクイン。デンマークやフィンランド、ドイツ、フランスといったEU諸国は、相互の移動自由を重視するEU圏内の取り組みにより、引き続き高水準の渡航自由度を維持しています。
政治・経済の安定性に加え、人権や法制度の整備も高く評価されており、信頼できる国家としてパスポートの価値を支えています。
旅行しづらい国は?パスポートランキングワースト5を紹介
パスポートランキングでは上位国に注目が集まりがちですが、国際的な移動自由度の観点から見ると、下位にランクインした国々にも重要な示唆があります。
2025年のパスポートランキングで最下位となったのはアフガニスタンで、ビザなしで渡航可能な国はわずか25カ国にとどまりました。
98位のシリアは27カ国、97位のイラクは30カ国。いずれも長年にわたり政情不安や紛争が続く国々であり、国際的な信頼性や外交関係の制約がランキングに大きく影響しています。
こうした結果は、単に旅券の機能だけではなく、国家としての安定性、外交戦略、国際的な信用力を測る一つの指標として注目されています。
ランキング | 国 | ビザ(査証)なしで入国できる国の数 |
---|---|---|
ワースト:1位 | ・アフガニスタン | 25カ国 |
ワースト:2位 | ・シリア | 27カ国 |
ワースト:3位 | ・イラク | 30カ国 |
ワースト:4位 | ・パキスタン ・ソマリア ・イエメン | 32カ国 |
ワースト:5位 | ・リビア ・ネパール | 38カ国 |
世界有数の「最強パスポート」日本、でも活用されていない現実

ヘンリーパスポートインデックスで世界首位となった日本のパスポートは、まさに「最強」ともいえる存在です。
しかし実際には、その恩恵を最大限に活用しているとは言い難い状況があります。
ここからは、日本人のパスポート保有率や渡航状況の現実を見ていきましょう。
日本のパスポート保有率はわずか17%と低水準
外務省の統計によると、2024年時点で日本のパスポート保有率はわずか17%です。
これは主要先進国と比べても極めて低い水準であり、例えばアメリカやカナダでは50%以上、EU諸国の多くでは60~70%台に達しています。
日本のパスポートは国際的な信頼性が高く、多くの国へビザなしで渡航できるにもかかわらず、その恩恵を受けている国民は限られているのが実情です。
参考:旅券統計|外務省
2024年の海外渡航者数は2019年比で、約64.7%
コロナ禍を経て世界的に国際移動が回復傾向にある中、日本人の海外渡航は依然として鈍い回復にとどまっています。
日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2019年の日本人海外渡航者数は約2,008万人に達していたのに対し、2024年は約1,300万人と、コロナ前の64.7%の水準にとどまっています。
この数字からも、日本人の海外旅行需要が完全には戻っておらず、世界的に見ても回復のスピードが遅いことが浮き彫りになっています。
年 | 出国者数 |
---|---|
2019年 | 20,080,669人 |
2024年 | 13,007,282人 |
なぜ今、海外旅行離れが進んでいるのか?5つの理由を考察

コロナ禍以降、多くの国で国際移動は回復傾向にありますが、日本における海外旅行者数はまだ完全には戻っていません。
複数の要因が絡み合い、日本人の海外旅行に対する意欲を抑制している現状があります。
ここでは、その背景として特に重要な5つの理由を詳しく解説します。
円安による海外滞在費の高騰が家計を直撃
近年の急激な円安進行により、海外での滞在費やショッピングコストが大幅に上昇しています。
日本円の価値が下がることで、同じ金額でも支払う現地通貨の額が増え、旅行全体の予算が膨らむため、家計への負担が大きくなっています。
特に物価の高い欧米やオセアニアへの旅行では、この影響が顕著であり、これが海外旅行離れの一因となっています。
航空券や燃油サーチャージの値上がりで旅費が割高に
航空運賃の上昇も大きな要因です。世界的な燃料価格の高騰に加え、航空会社の運航コスト増加が燃油サーチャージに反映され、航空券の価格が高騰しています。
特に人気の渡航先ではチケット価格が例年よりも数割増しとなっており、旅行全体のコスト負担増が顕著です。
これにより、旅行計画の見直しや中止を余儀なくされるケースも増えています。
SNSや動画コンテンツで“行った気分”が味わえる時代に
SNSや動画プラットフォームの普及により、リアルな旅行体験をしなくても世界の観光地の雰囲気や文化を疑似体験できる環境が整っています。
特に若年層を中心に、現地に行かなくても映像や写真で満足感を得られるため、物理的な移動への意欲が減退する傾向が強いです。
こうしたデジタルコンテンツの充実は、旅行離れの新たな要因として注目されています。
治安・感染症リスクで海外を避ける傾向が強まっている
政治的な不安定や治安悪化、さらには新型感染症のリスクが依然として懸念材料となっています。
渡航先によっては安全面での不安から旅行を控えるケースが増えており、特に高齢層や家族連れを中心に慎重な行動が続いています。
これらのリスク意識は、海外旅行全体の需要を抑制する重要なファクターとなっています。
まとめ
2025年版パスポートランキングでは、日本が堂々の第2位にランクインしました。
世界でもトップクラスの渡航自由度を持ちながら、日本国内ではパスポート保有率が17%にとどまり、海外渡航者数もコロナ前と比較して6割程度にとどまるなど、その実力が十分に発揮されていないのが現状です。
円安や渡航費の高騰、安全リスクへの不安といった複数の要因が重なり、海外旅行離れが進行する中で、「パスポートの価値」が埋もれつつあります。
しかしながら、グローバル化が進む今、個人の選択肢や可能性を広げるツールとして、パスポートは依然として強力な存在です。
こうしたランキングデータは、自国の立ち位置を知るだけでなく、自身の行動や視野を見直す一つのきっかけになるかもしれません。