【2024年度】旅行会社の売上ランキング・業界動向を徹底解説!旅行業者取扱額から読み解く

【PR】本文中に広告リンクが含まれています。

2025年6月6日、観光庁から2024年度の旅行業者取扱額が発表されました。

コロナ禍からの回復が本格化する中で、今年度のデータには、旅行需要の復活と業界内での動きが如実に表れています。

特に海外旅行の取扱額は前年比140.0%と大幅に伸び、訪日外国人旅行(インバウンド)も順調に回復。一方で、国内旅行はやや減少傾向を見せるなど、カテゴリーごとに明暗が分かれました。

本記事では、観光庁が発表した2024年度の「旅行業者取扱状況」をもとに、旅行業界の現状と主要各社の売上動向について詳しく解説します。

旅行業界の今を把握したい方、業界関係者や就職・転職を検討している方にも役立つ内容です。

【2024年度】旅行業者取扱状況(募集型企画旅行)の取扱状況

2024年度の募集型企画旅行の取扱額は、カテゴリーによって回復状況にばらつきが見られました。

海外旅行は大幅な伸びを記録し、インバウンド(訪日外国人旅行)も順調に回復。一方で、国内旅行は前年を下回る結果となり、需要減少が見て取れます。

ここでは、各分野の取扱額と前年比・コロナ前の2019年度比の動向を具体的な数値をもとに確認していきましょう。

海外旅行:前年比140.0%で大幅増加|需要回復が加速

2024年度2023年度2019年度
136,385,747(千円)97,413,122(千円)386,781,145(千円)

2024年度の海外旅行の取扱額は1,363億8,574万7千円で、前年の974億1,312万2千円から約1.4倍に急伸しました。

ただし、コロナ前の2019年度(3,867億8,114万5千円)と比べると、依然として約35%程度の水準にとどまっており、完全回復には時間を要する見通しです。

また一部では、円安による旅行費用の高騰や、各国の物価上昇が消費者心理に影響を与えており、海外旅行市場が今後も2019年の水準まで戻らないのではないかという見方も出始めています。

国内旅行|前年比91.9%で微減

2024年度2023年度2019年度
637,281,479(千円)693,447,018(千円)888,734,618(千円)

2024年度の国内旅行取扱額は6,372億8,147万9千円となり、前年の6,934億4,701万8千円から約8%の減少となりました。

コロナ禍で高まった国内旅行需要が一巡し、反動減が出たと考えられます。さらに、物価上昇や旅行支援策の終了なども影響した可能性があります。

2019年度(8,887億3,461万8千円)比では約71.7%の水準で、今後の回復には需要喚起策や商品力強化などが求められます。

外国人旅行|前年比131.0%で順調に回復中

2024年度2023年度2019年度
2,393,546(千円)1,827,386(千円)4,622,829(千円)

訪日外国人向けの旅行商品(インバウンド)は、2024年度に23億9,354万6千円を記録し、前年の18億2,738万6千円から約31%の増加となりました。

アジア圏を中心とした訪日需要の回復が見られ、団体旅行や訪日ツアーの再開も数字に反映されています。

ただし、この数値はあくまで日本国内の旅行業者が取り扱った外国人旅行者向けの募集型企画旅行に限定されたものであり、訪日外国人旅行者全体の消費額や旅行規模を示すものではありません。

実際には、個人手配や海外OTA(オンライン旅行会社)経由の旅行も多く含まれており、業界全体の回復状況を把握する際は、観光庁の「インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)」など他の指標と併せて見る必要があります。

【2024年度】主要旅行業者の旅行扱状況

2024年度の旅行業者取扱状況は、全国43社のデータをもとに集計されています。

新型コロナウイルスによる影響から脱しつつある中で、各社の業績は回復傾向にあるものの、そのスピードや水準には大きな差が見られます。

ここでは、各社の売上高ランキング、前年比で大きく伸びた企業、そして2019年度比で依然として回復が遅れている企業について詳しく見ていきます。

※以下に掲載しているデータは、旅行業者取扱額 | 観光統計・白書 | 観光庁|令和6年度(2024年度)を引用しています。

【2024年度】主要旅行会社の売上高ランキング発表|トップに立ったのはどこか?

2024年度の旅行取扱額においてトップに立ったのはJTBグループ(7社計)で、1兆3,120億8,868万7千円という圧倒的な数字を記録しました。

2位は日本旅行(4社計)で3,606億3,010万2千円、3位はエイチ・アイ・エス(6社計)で3,596億4,325万円と、熾烈な2位争いが展開されています。

続いて4位が阪急交通社(2社計)で3,339億9,431万9千円、5位がKNT-CTホールディングス(4社計)で3,338億9,647万6千円となり、上位5社で全体の取扱額の大部分を占める構図は、コロナ前から大きくは変わっていません。

特にJTBの圧倒的な規模感は業界内での存在感を再確認させる結果となりました。

会社名取扱額(千円)
JTB(7社計)1,312,088,687
(株)日本旅行(4社計)360,630,102
エイチ・アイ・エス(6社計)359,643,250
阪急交通社(2社計)333,994,319
KNT-CTホールディングス(4社計)333,896,476
東武トップツアーズ(株)120,165,484
(株)ジャルパック118,582,228
名鉄観光サービス(株)76,176,694
(株)ジェイアール東海ツアーズ66,979,467
ANA X(株)63,047,245

前年比で大きく成長した旅行会社は?|急回復を遂げた企業に注目

前年から大きく取扱額を伸ばした企業に注目すると、トヨタツーリストインターナショナルが前年比137.7%で最も高い伸び率を記録しました。

次いで、HTB-BCDトラベル(134.8%)、三越伊勢丹ニッコウトラベル(126.3%)、南海国際旅行(123.4%)といった企業も高い成長を示しています。

注目すべきは、大手である阪急交通社(122.7%)も上位5社に名を連ねている点です。

法人・団体旅行の再開や高付加価値商品の需要が復活していることが、これらの企業の取扱額増加に寄与していると見られます。

回復の波をいち早く捉えた企業がシェアを再拡大している構図がうかがえます。

会社名取扱額:2023年度比(%)
(株)トヨタツーリストインターナショナル137.7
(株)HTB-BCDトラベル134.8
(株)三越伊勢丹ニッコウトラベル126.3
(株)南海国際旅行123.4
阪急交通社(2社計)122.7
郵船トラベル(株)117.1
イオンコンパス(株)116.8
京成トラベルサービス(株)115.7
エイチ・アイ・エス(6社計)112.3
(株)IACEトラベル112.0

2019年比での回復状況は?|コロナ前から回復が遅れている企業も明らかに

一方で、コロナ前の2019年度比での回復状況に注目すると、依然として厳しい状況にある企業も散見されます。

特に九州旅客鉄道(27.4%)、沖縄ツーリスト(34.3%)、ANA X(36.2%)、小田急電鉄(41.5%)、フジ・トラベル・サービス(48.2%)といった企業は、いずれも2019年度の半分以下の水準にとどまっています。

地方鉄道系・航空系・百貨店系の旅行事業者は、団体旅行の減少や構造的な需要減の影響を大きく受けている可能性が高いです。

単なる一時的な回復ではなく、事業モデルの見直しが迫られている企業もあることを示す結果と言えます。

会社名取扱額:2019年度比(%)
九州旅客鉄道(株)27.4
沖縄ツーリスト(株)34.3
ANA X(株)36.2
小田急電鉄(株)41.5
(株)フジ・トラベル・サービス48.2
(株)読売旅行51.0
㈱JR東日本びゅうツーリズム&セールス52.3
(株)農協観光54.4
T-LIFEホールディングス(株)(2社計)61.2
名鉄観光バス(株)64.5

まとめ

2024年度の旅行業界は、全体として堅調な回復を見せた一年となりました。特に海外旅行は前年比140.0%と急伸し、インバウンド(外国人旅行)も131.0%と回復基調が続いています。

一方、旅行会社ごとの成長スピードや回復状況には差があり、需要をうまく取り込めている企業とそうでない企業の明暗が分かれています。

また、コロナ前の2019年度と比較すると、業界全体としては依然として完全回復には至っておらず、本格的なV字回復とは言いがたい状況です。

今後は、旅行者の価値観やニーズの多様化にどう対応するかが、各社の競争力を左右するポイントと言えます。

旅行業界に関わる皆さんは、今回のデータをもとに、それぞれのポジションや戦略を見直すきっかけにしてみてください。

「旅のプロが導く!業界キャリアナビ」では、元旅行会社の社員が「旅行業界への就職・転職に役立つ情報」「旅に関する便利な情報」を発信しています。

その他の関連記事も合わせて御覧ください。

ブログランキング・にほんブログ村へ当ブログは「にほんブログ村」へ参加しています。

Tak(サイト管理人)

サイト管理人

日本の大手旅行会社に約9年間勤務。 販売・商品企画・仕入れ業務に加え、海外駐在など多岐にわたる実務経験を積んできました。 過去の経験を活かし、旅行業界の仕組みや、旅に役立つ実践的な情報をわかりやすく発信しています。

新着記事
人気記事
PAGE TOP